幸福なフープ・ループ

 18歳の誕生日に、大好きな友達が歌集を贈ってくれたことがきっかけで、穂村弘が好きになった。そのあと、過去にハルカトミユキのハルカさんが穂村弘と対談している記事をたまたまネットで見つけた。穂村弘のエッセイの最新作の解説も、ハルカさんが寄稿している。ハルカトミユキは、わたしがいちばん好きな歌を歌う人たち。

 ハルカトミユキが日比谷野外音楽堂でライブをした。会場の入り口には、親交の深いバンドとか、レコード会社から贈られたお花が飾ってあった。その中に、『ピース 又吉直樹』の名前が突き刺さった真っ赤なお花があった。以前、ハルカさんがライブで着ていた真っ赤なドレスを思い出した。ピース又吉は、わたしがいちばん尊敬しているお笑い芸人。

 ピース又吉がオススメしていたので、西加奈子の『漁港の肉子ちゃん』という小説を買って読んだ。それから、西加奈子が好きになった。

 そんな西加奈子が、『ダイオウイカは知らないでしょう』という短歌の本を出していることを知った。それは、せきしろさんという方との共著だった。せきしろさん。ん?わたしの部屋に、せきしろさんの本あるぞ。せきしろさんとピース又吉の共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』は、わたしがいちばん好きな本だ。

 もちろん、『ダイオウイカは知らないでしょう』を買って読んだ。その中で、穂村弘が短歌の講評をしていた。

 わたしの部屋の壁には寺山修司の写真とお面が貼ってある。高校1年生のとき、美術室に寺山修司の写真と言葉が貼ってあったことがきっかけで好きになった。寺山修司は、ハルカさんが尊敬している人で、『書を捨てよ、町へ出よう』という舞台では、ピース又吉穂村弘が映像出演していた。

 その舞台の特集が組まれた『文學界(2016年3月号)』をどうしても見せたくて、以前わたしに歌集をプレゼントしてくれた友達の家に持っていった。彼女は、ボロボロに読み込まれた本を手にわたしを出迎えた。

「これ、ズーちゃんに見せたいと思ってたんだ!」

 わたしたちは本を放り投げて手を空っぽにして笑った。床に二冊、どぎついピンク色の表紙の、『文學界2016年3月号』。

 出来すぎた話のようで、事実である。

 

 

…果てがない。

 

 

 どこへ行ってみても、登場してくる名前名前名前。わたしが今いるここは、一つの輪の中であることに気づく。

 円と輪の違いがわたしの中で曖昧だから、自分なりにここでの意味を定義する。輪には、コミュニティがある。生気がある。たぶんこれは、円にはない。なんとなく円のほうが人との関わりという視点からでも平面的な感じがする。その違い。難しい。

 わたしの周りをぐるりと囲んで、守ってくれているようなもの。憧れと尊敬という一定の距離を保って、わたしの周りにあるもの。わたしの好きなものって、わたしの向こう側で自然と繋がっているんだ。

 もちろん、この輪はまだ完全じゃない。わたしには知らないことが多すぎるし、知りたいことも多すぎる。知るということで輪が大きくなるというよりは、輪を形成している線の密度が濃くなるという感じか。知れば知るほど、点が線になるというか。

 鉛筆の濃さで例えたほうがわかりやすいかな。もっと感性を磨いたら、今は4Hのカッチカチの薄い鉛筆でも、いつかは6Bくらいの柔和かつ力強い濃さになるかもしれない。いや、いろんな鉛筆を手に入れて、濃淡までつけられるようになるかも。

 

 目標に『 "輪" の円周になる』と書き足しておいた。これはきっと人生の最終目標だ。算数で習ったような気がするけど、公式って、通用するのかな。そんな易しい問題じゃないか。