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記憶快速

 記憶快速。鮮烈に記憶している地点だけを結ぶ列車。

 

 日々は決して心地の良い速度では流れていかない。忘れられた時間があることを認知してはいるが、その詳細までは思い出すことができない。無駄と呼ぶにはあまりにも惜しく、思い出と呼ぶにはあまりにも怠惰な日々も、記憶快速の線路上にある。ただ、この列車は曖昧なものの全てを通過していく。窓の外の残像はその象徴である。

 

 誰も今日までの全ての瞬間を覚えてなどいない。激しく感情が揺れた日のことに焦点を合わせて生きている。

 我々も記憶快速の乗客で、日々は心地の良い速度で流れていることに気づかないだけなのかもしれない。そして、あっという間に終点に到着してしまうのかもしれない。急ぐことだけがすべてか?快速。それは、本当に快い速さと呼べるか?

 

 隣のホームの各停列車は比較的空いている。 

 

 どちらも行先は、未定。