3メートル先に赤提灯が見えている

新宿駅をランドセルを揺らしながら走る子供がいる。隅田川沿いの土手でサッカーをする子供がいる。19歳の我々は、幾度となく東京に生まれた子供とすれ違う。ここで育まれた彼らの価値観に興味を持ちながら、19歳の我々はただ息をするだけ。

 

もうすぐ、19歳が終わる。

 

電車の中で広告に目をやる。ハイボールを飲む大人の顔の一瞬がこちらを見ている。笑顔。

ハイボールは不味い。レモン味ならお前でも飲めると言われて飲んでみたが、やっぱり不味い。20歳になった途端に、この飲み物を美味しく感じられるのだろうか?大人になるとは、いったいどういうことなのだ。酒の味がわからない奴は、20歳を越えても子供か。いや、酒とは関係が無い。それはわかっていても、わたしにはわからない。子供でいたい?それは大人になってから言え。

 

大人になりたいかなりたくないかというのは、この世に存在する議論のなかで最も意味をもたない。

 

もうすぐ、19歳が終わる。

 

人を試すのはもうやめにしないか。20歳になったら、真ん前向いて先手を打てるようになるんだろうか。商店街を抜けたら、急に寂しくなったりできるようになるんだろうか。改札の音と別れの挨拶の声が重なっても、笑って「またね」をやり直せるようになるんだろうか。

 

大人はたぶんそんなに強くない。

なにも変わらないだろう。相変わらず酒は不味いし卑怯な真似もするし都合の悪いことはなかったことにするんだろう。期待するほうが間違っている。ただし、すべてはこの街のせいであるとする。

 

価値観とはなんだっけ。

 

もうすぐ、19歳が終わる。