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記憶快速

記憶快速。鮮烈に記憶している地点だけを結ぶ列車。 日々は決して心地の良い速度では流れていかない。忘れられた時間があることを認知してはいるが、その詳細までは思い出すことができない。無駄と呼ぶにはあまりにも惜しく、思い出と呼ぶにはあまりにも怠惰…

写ルンですもiPhoneもCanonの一眼もわたしの目もあなたの目も見ているものは同じ

最近はレジの店員さんにありがとうございますが言えなくて、でもありがとうと思っているからどうしようと迷った結果、いつも10回くらい高速でお辞儀をしてしまうのだけれど、たった一回「ありがとう」と言うだけのほうが伝わるし、言葉とは尊いなと思う。 お…

水平線、海は海に落ちる

わたしはきっと会いに行くし、舞台の上に立つ彼女を観る。 彼女はそこで待っていて、舞台の上からわたしを見る。 次に会う頃には、わたしは20歳になっている。大人になるということは、演じることではないな、きっと。 今は、同じ速度では進めないけれど、方…

運転見合わせなう

青い自動販売機のある角を右。白い自動販売機のある角はその一本手前の道だから、間違えないように気をつけて。緑色の缶のジュースが好きだったけれど、昨日通ったときには赤い缶のジュースに変わっていた。 缶コーヒーよりもコンビニで100円のレギュラーコ…

記録は記憶に昇華する

コインランドリーに備えつけてあった手洗い場のタオルが真っ黒で、なによりも真っ先に真っ白くなるべきなのは他でもないお前だ、と思った。 愛されていると勘違いしたい。その鈍い感覚の鋭さで、永遠に自分を騙し続けたい。死ぬまで幸福な錯覚を。 シャッタ…

最悪と言われた日に

わたしは嘘をつかない。 もしもそんなことが本当に可能ならば、他人を傷つけることと自分が傷つくこと、どちらが多いのだろう。他人を守るための嘘と、自分を守るための嘘、わたしは日頃どちらを選んでいるのだろう。 もしもわたしが素直な人間になることが…

ばらばら

ひとりでは何も生まれぬ生み出せぬ無能ではない非力でもない。

せめて帰路だけは笑って

浴槽に浮かんでいるアヒルが結論を出せと急かしてくるし、フローリングの床であみだくじをしていたら、いつかの髪の毛に邪魔された。 歯ブラシの上の洗顔フォームに気がついて手を止める。 15駅を走り抜ける間、眠ったふりでなにを考えてたっけ。いつも通り…

殺意を抱いて飛べ

他人から見たらしょうもない人生、あの子のフェイスブックには到底敵わない人生、絵の具まみれのあの子のツナギに、エナジードリンクの空き缶に、面影のないショートヘアに、わたしの知らない傷とか、嘔吐の記録とか、歌とは呼べないような完璧な歌を。でき…

海底にも光は差す、たとえば今いる場所のような

どんな大きな海にだって果てはあるのだけれど、そんなことどうだっていい、同じ海にわたしの探している人がいるのか、ということが問題なのだ。 あなたはまだこの海のどこかでひっそりと泳いでいますか。それとも、どこかの地に流れ着いて、のんびり暮らして…

続・泣いた赤鬼

青鬼が姿を消してから284年もの時間が過ぎた。 大した収穫量のない干からびた水田や、いぼ痔のような実しかならない畑以外に何もなかった島には現在、寿司が時速250キロで運ばれてくる回転寿司チェーン店や、概念を超越した32時間営業のコンビニエンスストア…

O

他人の生活は尊い。 ダサいTシャツが無造作に干してあるベランダ、動かぬ影が浮かぶ窓際、整然と並ぶ郵便受け。加工され、正方形に切り取られた美しいだけの世界。140文字で語り尽くせる日常。そのすべてが尊い。他人の生活がわたしの手の中で流れていく感覚…

振り出しに戻る

最近は、人間関係を構築することよりも、それを維持することのほうに格別の難しさを感じている。 人との関わりは特に意識しなくても自然に出来上がっているように思う。不思議なことに「仲良くなりたい」と直感的に思った人とは、なぜかその通りになっている…

綺麗な瞳の子には旅をさせよ

もしも将来わたしが母親になったら、18歳になった自分の子供に「青春18きっぷを使って旅行してこい」って言いたい。そして、できるならば一人旅ではなく、大切な友達と行ってほしい。 みんなが卒業旅行でディズニーランドとか原宿とかに行った写真をSNSに投…

ジャスコの観覧車とか思い出した

今日は一日中イライラしていて、みっともなかったなと反省している。 珍しく父が月曜日の今日も休みだった。昼前に両親はパチンコに出かけた。「あんたも出かける?」と言われた。祖母と家に二人きりなのは嫌だったけど、父が「パチンコ屋の近くで映画観てれ…

六畳一間で人生ゲームをしたい

自分が何をしたいのか、さっぱりわからなくなってきた。 ただ、青森を出て東京で暮らしたいという漠然とした思いだけはずっとあって、「生活」というハードルの低い夢を見ている。 田舎に生まれ育ったことを恨んだことはない。むしろ、幸運だとさえ思ってい…

江ノ電 頑張れない 幸せ 思い出せない

忘れた たぶん好きだった 自転車 コンビニ バス停 向かい合って座る たぶん覚えてない 隣の空き地に家が建ったので星が見えなくなった 郵便局 コンビニ 坂道と留学生 新宿は空気が良い 曲がり角の自販機 マウンテンデューとセブンアップ 洗濯物と夕焼け 地下…

3メートル先に赤提灯が見えている

新宿駅をランドセルを揺らしながら走る子供がいる。隅田川沿いの土手でサッカーをする子供がいる。19歳の我々は、幾度となく東京に生まれた子供とすれ違う。ここで育まれた彼らの価値観に興味を持ちながら、19歳の我々はただ息をするだけ。 もうすぐ、19歳が…

ある人の手紙

拝啓 そういえば、金木犀の匂い、19年生きてきて初めて嗅ぎました。 よく考えてみたら、青森には秋がなかったような気がします。8月の頭、ねぶた祭りが終わってしまったら、夏の影は祭りを後にする人の足で跡形もなく踏み潰されて、秋を迎える前に来たる冬を…

走るのに革靴は適さない

馬鹿馬鹿しいが、靴が脱げたあの日、わたしはどうするべきだったのかを、未だに考える。 そんな日が、誰にでもあると思うのだ。 ただ、もし答えが出たとしても、誰もあの日には戻ることができないから、前もって言っておく。 走るのに革靴は適さない。どんな…

正月に飛んで火に入る春の虫

わたしは絶対に、髪の毛の色や、ピアスの数で、「自分は他の人と違う」って思いたくない。わたしは絶対に、「個性的」だとか、自ら謳うような人にはなりたくない。そんな人たちを見ていると、こっちまで恥ずかしい。問いたくなる。あなたは、恥ずかしくない…

運命とか都合のいいことは言わないほうが賢い

たしかに、夢の中で「別にお前のことかばってるわけじゃないから」と言われた。そのときの状況も顔も声も不鮮明であるが、この言葉だけは一言一句違わずに覚えている。そして、こう言われたときわたしは、たしかに、笑っていた。 ずっと信じてきたものが、き…

東京画報

東京というのは、希望の密度が高い場所のように思われる。ビルや電波塔は、飽和した幸福を東京というこの街から溢れさせぬよう、上へ上へと高く積み上げられていったように見えて仕方がないのだ。 そのようなことを考えるわたしの目の前に、地べたにダンボー…

風化していく我々は

びっしりと芝生が生えた封筒が届いたのは、今から一ヶ月ほど前のことである。 「変わることを簡単に良い悪いと言えないけど、ZOOちゃん(わたしのあだ名)の芯の部分は変わっていないのだろうな。」 8枚にもわたる手紙の最後の1枚には、そう書かれていた。 …

仲間を探したい

伊藤整の「青春」から、その一部を抜粋する。 若し青春の提出するさまざまな問題を、納得のゆくやうに解決しうる倫理が世にあったならば、 人間のどのやうな問題もそれは、やすやすと解決しうるであろう。 青春とは、とほりすぎれば済んでしまう麻疹ではない…

午後二時の回想

生産とも言うべき行為は、ただただ苦痛であった。ここで浴びる言葉には、執拗に撫でまわすような生ぬるい温度がある。生命のはじまりは、まったく神秘でなく、きわめて人工的であることに幻滅した。これを愛と呼ぶならば、こんなもので世界は救えない。愛情…

刺さり、る

幸福の仮面を被った家族である。 わたしたちは、良い子のふりをするのが得意だ。 いつか、必ずこの箱は壊れる。

苦悩しか生産性の無い夜に。

ハイライト

一人では何もできないことを知った。わたしの描いた絵が売れないことは目に見えている。目の前の本棚には、読みかけの本が詰まっている。床の上の本の山の一番上には、わたしを引きつける言葉が並んでいる。Instagramのタイムラインには、正方形に切り取られ…

渋谷 センター街 ネカフェ 覚醒

時間の無駄だ。 こうして書いたり消したりしている時間が、無駄だと言っている。

信号を渡りきれないとそこは墓場

『華の金曜日』という言葉が好きだ。 金曜日になると、ある光景を思い出す。 エリートたちが吐いた、ゲロと煙草の煙と冴えない自分を呪う言葉。冷たいコンクリートの上は、泥酔した彼らにとって格好のダンスフロアと化す。電車が次々に運んでくる騒音にも気…

若気の至り、なう

今日は、高校時代の友達の誕生日である。わたしは人の誕生日を覚えるのがとてつもなく苦手なので、Twitterで「今日お祝いしてくれた人、ありがとうございました!」のツイートに17いいね♡くらいついたところでようやく「あ、そういえば」となる。だけど、今…

この世に、脚が生えた魚がいるって、知ってる人は、あんまりいない

もし今日が11月1日だと気づいていたら、部屋の掃除をしたり、洗濯をしたり、買い物に行ったり、できたのかもしれない。だけど、わたしには今日が何月何日で、何曜日なのかわからない。昨日が10月31日だったということは覚えている。だけど、10月31日の次は11…

知らんおっさんの残していった温もりの上に座る

六本木を歩いている犬!だらしのない女(ex.わたし)のようなバキバキのキューティクルとは正反対の、さらさらの毛並みがビル風に吹かれている。犬と目が合う。なんて気高い瞳なのだ。 「負け犬は、そっちよ」 と犬に言われた気がした。 「はい、ほんとにそ…

華金はベッドの上にひとり

こんばんは。さっき外からパトカーがサイレンをワンワン鳴らして走っている音が聞こえたので、急いで窓を開けました。国道一号線をものすごい速さで走り抜けるパトカーの姿をちょっとだけ見ることができました。ほとんど赤いサイレンの残像だったかもしれな…

十代を浪費するのは明るい二十代のため

まさか19歳にもなって、まったく面識のない人の前で大声をあげて泣くとは思わなかった。しかも、「一番信用していた人だったから」そう言って泣いたのだ。裏切られるのが怖いなら、はじめから何も信じなければいいと思っていた。裏切られたと愚痴をこぼすと…

20161013

肌寒いくらいの方が自分には合っている。雪のない冬を迎えるのは今年が初めてのことになると思っていたが、どうなるだろう。「人肌恋しい季節」と誰かが言うので、わたしもなんとなくそう思う。多くの人は、自分が生まれた季節をいちばん好む傾向にある気が…

わたしを田舎者だと笑えばいい

高円寺にやって来た。駅を出てすぐの「純情商店街」の文字に惹かれ、目的地とは正反対の道を選んだ。 個人経営の古い不動産屋の前に、亀がたくさんいたので、しゃがみこんで眺めていた。すると、上下を黒色に身を包んだ上品な老婦人が歩いてきた。「あら、亀…

死体になっても涙を流してやる

前回の投稿から、ずいぶんと間が空いてしまった。 何も考えずにただ泣き笑い、そうして日々を消化できる歳頃を過ぎた。いつからか、手帳に予定を書き入れることがわたしにとっての延命措置となっていた。ページをめくって、まだまだ先だとため息をつきながら…

死ぬ気で頑張るくらいなら死にたい

「頑張れ」という声援に対して「もう頑張ってるから」と怒るのは、なにか違う気がする。相手はこれ以上の努力を要求しているわけではないのに、受け取ったほうは勘違いしてしまいがちだ。それほど精一杯なのもよくわかるけれど、「頑張れ」と言われたら、素…

人生のハードルの高さが年々下がっている

小学生の頃は、足が速いと人気者になれた。それなのに、高校生になると、制服を着崩したりして、それなりにオシャレであることが要求された。学校行事では、みんなでお揃いの髪型(宇宙人みたいなやつ)をしたり、いつも一緒にいるグループに名前をつけたり…

日記にまつわる日記

ノートを最後まで使い切ることができないまま、新しいものを買ってしまう。実家にある学習机の引き出しの中は、使いかけのノートでいっぱいだった。一冊ずつ開いてみるが、どれもはじめの二、三ページには日記のようなものが書かれていて、あとはずっと余白…